大腸カメラ検査について
先端にカメラが付いた極細の内視鏡スコープを挿入して、大腸全域の粘膜を直接観察する検査です。組織を採取して病理検査を行うことで、さまざまな大腸疾患の確定診断につながります。大腸がんを早期発見できる唯一の検査であり、前がん病変の大腸ポリープを発見した場合にはその場で切除する日帰り手術を行えますので、将来の大腸がん予防も可能です。切除スケジュールを別の日につくる必要がありませんし、前日の食事制限や当日の下剤服用も1回ですみます。また、入院の必要もありません。
当院では患者様の心身への負担を軽減するために、鎮静剤を用いた検査を基本にしています。眠っているようなリラックスした状態で検査を受けられますので、不快感のない検査が可能です。また、熟練した専門医がそのスキルを十分にいかせる高度な内視鏡システムを用いることで、クオリティの高い検査を短時間に行うことができます。安心していらしてください。
当院の大腸カメラ検査の特徴
特徴1 内視鏡検査はすべて、経験豊富な内視鏡専門医が行っています
当院の院長は、内視鏡専門医であり、大学病院や救急病院で内視鏡検査や手術の研鑽を積んできています。年間約150件のがん・消化器系の手術、年間約1000件の内視鏡検査を行ってきた経験やスキルをいかして、短時間に精緻な観察を行い、痛みや不快感を最小限に抑えた検査を提供しています。スコープの挿入や大腸ポリープ切除に関しても高度な術式を適切に行っています。
特徴2 楽に受けていただくために細部まで配慮しています
鎮静剤を使用するため、眠っているようなリラックスした状態で検査を受けることができ、検査中の苦痛や不快感がほとんどありません。負担が大きいスコープの挿入時には、無送気軸保持短縮法という高度なテクニックを使い、体位の変化と組み合わせて最も安全で楽な挿入ができるようにしています。
また、曲がりくねってヒダやシワがたくさんある大腸をすみずみまで確認するために、検査中に気体を送気して大腸をふくらませて観察しますが、その際にも空気の200倍吸収が早い炭酸ガスを使用することで検査後の膨満感を大幅に低減させています。炭酸ガスは二酸化炭素になって呼気から体外に排出されるため、安全性も高い送気法です。
さらに、受動湾曲機能が搭載されている最新のスコープを使用していますので、腸管の圧迫を最小限にして不快感を大幅に低減できますし、ヒダなどの裏を容易に観察可能なフードの装着によってより短時間の検査が可能になります。
当院では麻酔科標榜の資格を持つ院長が、患者さん一人一人の状況を確認しながら鎮静を行なっています。
特徴3 ストレッチャーで寝たままリカバリールームへ
リカバリールームは一人ずつ仕切られたスペースですので、安心してお休みいただけます。鎮静剤を使用した検査では、検査後はそのままストレッチャーでリカバリールームへ移動して30~60分程度ベッドでお休みいただきます。当院ではリカバリースペースを複数ご用意しております。プライバシーを守りながら、安心してお休みいただけます。
特徴4 最新の高度な内視鏡検査システムを導入
当院では、長年世界のトップを走り続けているオリンパス社の『EVIS EXERA III』という最新の高度な内視鏡システム導入しています。大学病院レベルのクオリティが高い検査が可能で、専門医の熟練した技術を十分にいかした精緻で患者様へのご負担が少ない検査が可能になっています。
内視鏡スコープもRIT(Responsive Insertion Technology:高伝達挿入部、受動湾曲、硬度可変)の機能が搭載されたモデルを使用しています。専門医の高い技術力やスキルを先端まで正確に伝えることができ、患者様のご負担を大幅に低減します。視野角が大きく広がり、高精細な画像による観察が可能ですから、見逃しやすい部分も精密に観察できます。
また特殊な波長の光を照射するNBIは、血管を集めやすいがんの特性に合わせた観察が可能ですから、通常光では発見できない微細な早期がんの発見が可能になります。
特徴5 しっかり確認するための観察時間をとっています
大腸カメラ検査で大腸粘膜のすみずみまできちんと確認するためには、熟練した専門医でも6分以上の観察が必要と考えています。当院では平均した観察時間が8分程度であり、挿入も含めた検査所要時間は10~15分程度となっています。海外の研究ですが、大腸カメラ検査時の観察時間が6分以下になると見逃しが有意に多くなることがわかっています。大腸は形状の個人差が大きく、疾患によって異なる病変の特徴を持っており、微細な早期がんや平坦なポリープを発見するために、観察に関しては適切な時間をしっかりとって検査を行っています。
特徴6 検査中に発見した大腸ポリープはその場で切除可能です
切除部分に止血クリップをかけることもありますが、1週間程度で自然に外れて便といっしょに排出されますので、その後の処置は不要です。
発見されたポリープのサイズや数、形状によっては、別日に入院による切除が必要になることもあります。その場合には、連携している入院可能な医療機関をご紹介して、スムーズに手術を受けていただけるようにしています。
特徴7 使用する器具は徹底した洗浄と消毒を行って感染予防に努めています
当院では感染予防のため、使い捨て可能なものはすべてディスポーザブル製品を使い、使い捨てできない処置具などの器具に関しては徹底した洗浄・滅菌をしています。内視鏡学会で定められたガイドラインを遵守し、オートクレーブなどを用いて洗浄・滅菌した器具を患者様ごとにご用意し、感染を防いでいます。
特徴8 土曜の大腸カメラ検査も対応しています
平日は休めない方でも検査を受けていただけるよう、当院では土曜にも検査を行っています。土曜の検査でも、もちろんポリープ切除が可能です。
特徴9 同日に胃カメラ検査と大腸カメラ検査の両方を受けられます
1日で胃カメラ検査と大腸カメラ検査の両方を受けられますので、前日や当日の食事制限も1回ですみますし、スケジュールの負担を大きく軽減できます。40歳を超えて両方の検査もしっかり受けて健康管理をしたいという場合も、お気軽に検査を受けることができます。なお、同日検査で大腸カメラ検査を先に行う場合、その検査中に前がん病変の大腸ポリープを発見してポリープ切除を行った場合、その後の胃カメラ検査は別日に行うことになる可能性があります。
大腸カメラ検査でわかる疾患
下痢・便秘・腹痛は日常的によくある症状ですし、下血(血便)も良性疾患の痔で生じていることがかなりあります。ただし、大腸がんや前がん病変の大腸ポリープ、難病指定されているクローン病や潰瘍性大腸炎など、早急に適切な治療が不可欠な疾患でもこうした症状を起こすことがかなり多くなっています。
大腸カメラ検査では、大腸全域の粘膜を詳細に観察できますので、かなり幅広い大腸疾患の特徴的な病変を見極めることができますし、疑わしい部分の組織を採取して病理検査を行うことで確定診断が可能です。
特に自覚症状がない早期大腸がんや前がん病変の大腸ポリープは、大腸カメラ検査でのみ発見することができます。当院では熟練した専門医がそのスキルを十分にいかせる最新の高度な内視鏡システムを使って検査を行っており、痛みや苦痛のほとんどない検査が可能です。鎮静剤を用いる無痛検査も行っていますので、安心してご相談ください
主な疾患
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 虚血性大腸炎
- 大腸憩室炎
- 過敏性腸症候群
など
大腸カメラ検査のベストタイミング
大腸カメラ検査の最大の特徴は、早期がんや前がん病変の発見が唯一可能な検査であるということです。厚生労働省の発表したがん統計では、大腸がんの罹患数は1位であり、死亡数も増加傾向にあることがわかっています。ただし、大腸がんは自覚症状がなく早期に発見できれば生活の質を低下することなく根治が望めます。また、前がん病変の大腸ポリープは検査中に切除する日帰り手術をすることで、将来の大腸がん予防にもつながります。当院では、患者様の心身にご負担なく楽に受けていただける大腸カメラ検査を提供することで、進行した大腸がんの大変な治療で苦しまれる方を少しでも減らしたいと考えています。
大腸がん自体の発症リスクは50歳を超えると上昇しはじめますが、前がん病変の大腸ポリープは時間をかけてがんになりますので40歳を超えたら自覚症状がなくても定期的に大腸カメラ検査を受けることが有効です。また、大腸がんや大腸ポリープを発症したご家族がいる場合や、習慣的に喫煙・飲酒されている場合には、特にリスクが高いため早めの検査をご検討ください 。
早めの大腸カメラ検査が必要なケース
- 40歳以上で、大腸カメラ検査をこれまで受けたことがない
- 大腸がんになったご家族がいて、30歳以上
- 慢性的な大腸の炎症を起こす潰瘍性大腸炎やクローン病などの疾患がある
- がんになったことがある
- 大腸ポリープがある
など
内視鏡検査に関するよくある質問
大腸カメラ検査の流れ
大腸カメラ検査は、事前に診療を受けていただいた上でご予約をお願いしています。
なお、下血があるなど緊急性が高い場合には、受診当日検査が必要になることがあります。こうした症状がある場合には当日の朝食を食べずにご相談ください。
大腸カメラ検査の流れ
Step1事前診療と検査予約
問診で症状、既往症の有無や内容、普段服用されているお薬、家族歴などについてうかがいます。大腸カメラ検査や検査中に大腸ポリープが発見された場合の日帰り手術、前日の食事制限と下剤服用、そして当日の下剤服用という前処置、ポリープ切除を行った場合の制限やその期間などについてもわかりやすくお伝えしています。その上で大腸カメラ検査をご希望の場合には、検査の予約をお願いしています。検査前日や当日に服用する下剤などもお渡ししています。
また普段お薬を飲んでいる場合には、服用されているお薬を確かめ、前日や当日の服薬・休薬をお伝えしています
お薬に関するご注意
血液をサラサラにする抗凝固剤を服用されている方は、必ず事前診療の際に医師へお伝えください。抗凝固剤を服用されていると検査中に行う組織採取やポリープの切除で出血が止まらなくなる可能性があります。 また安全な検査のためには、抗凝固剤に限らず服用されているお薬の情報はとても重要です。事前診療の際には、お薬手帳や、処方薬局の明細、お薬そのものなど、服用されているお薬がすべてわかるものをご持参ください。
Step2検査前日
お薬を服用されている方は、事前診療時に医師から指示された服薬・休薬の指示を守ってください。
3食は消化しやすいものを食べ、夕食は素うどんや白粥、豆腐など白くて消化しやすい食事を21時までにすませてください。薬味、漬物、佃煮などの箸休めは消化が悪いので食べないようにしてください。夕食後には事前診療でお渡しした下剤を服用して就寝してください。なお、夕食後は検査終了後まで絶食です。
水分補給は可能ですが、透明で糖分を含まない水や薄いお茶を飲むようにしてください。
Step3検査当日
検査4~6時間前になったらご自宅で下剤を2リットル程度飲みます。何度かに分けて飲んでいただいて大丈夫です。排便が落ち着いたら、ご予約時間の15分前にご来院ください。
なお、遠方からおいでになる方、高齢などで下剤服用にご不安がある方には、院内で下剤を服用することも可能です。ご希望の場合は、事前診療の際にご相談ください。
ご来院に関するご注意
鎮静剤を使った検査では、当日の検査後にご自分で自動車・オートバイ・自転車などの運転をすることが禁じられていますので、ご来院時にも公共交通機関か、ご家族などの送迎でいらしてください。
Step4ご来院
下剤の効果が落ち着いて腸内がきれいになったら、検査予約時間の15分前までにご来院ください。便の状態を確認し、個室更衣室で当院がご用意した検査着に着替えていただきます。。
Step5検査
検査室に入って点滴を行います。身体の左を下にした左側臥位で横になり、全身の状態を確認するための血圧・血中酸素飽和度計測モニターを装着し、鎮痛剤を点滴の側管から注射したら準備完了です。肛門に医療用ゼリーを塗ってからスコープを挿入し、大腸最奥まで進ませて観察を開始します。平均的な検査所要時間は15~20分程度です。
なお、鎮静剤の量は、体格や年齢、体質に合わせて調節しています。検査が長くなる場合には適宜追加をしていきますので途中で眼が覚めることはあまりありません。検査後は30分から1時間程度で覚醒します。
Step6検査終了
検査後、鎮静剤の効果はすぐに切れますが、しっかり覚めるまで個室リカバリールームでお休みいただいています。
Step7結果の説明
内視鏡検査を行った専門医が、検査画像をお見せしながら丁寧にご説明しますので、気になることやご不明点がありましたら、遠慮なくご質問ください。
なお、検査中に組織を採取した場合や、ポリープ切除を行った場合には、病理検査の結果が約2週間後に出ますので、再診していただいてご説明しています。
Step8ご帰宅後
飲食は検査終了後の1時間後から可能になりますが、 前日からの食事制限や下剤服用によって低血糖を起こしやすい状態です。予防のためには、飲食可能になったら甘いものをまず口にするようおすすめしています。
当日は飲食や運動を控えてください。
ポリープの切除をした場合、当日の食事は、豆腐・プリン・ゼリー・ヨーグルトなど消化しやすいものを食べてください。翌日、腹痛や出血がないことを確認したら、少しずつ消化の良いものを食べるようにして、徐々に普通の食事にしていきます。
なお、ポリープ切除後の1週間程度は、飲酒、運動、排便時のいきみ、長時間の移動、旅行・出張を控えてください。
検査費用
検査のみ 1割負担 | 約2,000円 |
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検査のみ 3割負担 | 約5,000円 |
大腸カメラ+ポリープ切除(1部位) 1割負担 | 約9,000円 |
大腸カメラ+ポリープ切除(1部位) 3割負担 | 約26,000円 |
大腸カメラ+ポリープ切除(2部位) 3割負担 | 約28,000円 |
大腸カメラ+ポリープ切除(3部位) 1割負担 | 約10,000円 |
大腸カメラ+ポリープ切除(3部位) 3割負担 | 約31,000円 |