胸やけについて
胸やけは、焼けるような熱感をともなう不快感が胸の中心部に起こっている状態です。食道や胃の炎症で生じることが多い症状ですが、食道や胃の炎症が長期間続くとがん化リスクが上昇してしまいますし、がんの症状として現れている可能性もあります。症状が続くようでしたら、1度、消化器内科を受診することをおすすめします。
早めに受診しないと重症化する可能性がある胸やけ
- げっぷ、のどの違和感、咳をともなう
- 胸全体に感じる強い胸やけ
- 夜中、胸やけの不快感で目覚めてしまう
胸やけを起こす疾患
逆流性食道炎
胸やけを起こす代表的な疾患に、逆流性食道炎があります。強い酸性の胃液を含む胃の内容物が食道に逆流して、食道粘膜を傷付けてしまう疾患です。原因は、加齢などによる消化管機能の低下、肥満や猫背などによる腹圧の上昇、脂肪やタンパク質など消化に時間がかかる食事、服用している薬の副作用などがあります。生活習慣が発症・進行に大きく関わっているため再発しやすい傾向がありますが、食道粘膜の炎症が長期間続くと食道がんの発症リスクが上昇してしまいます。
症状自体は市販薬でも緩和できますが、そのことで受診が遅れて再発を繰り返し、深刻な状態になってしまうこともありますので、胸やけが慢性的に続く場合には、消化器内科を受診してください。
胃炎・胃がん
胸やけは胃炎や胃がんの症状として起こることもあります。胃がんは症状に乏しいまま進行することがありますので、胸やけ程度でもある程度続く場合には、1度きちんと検査を受けて、疾患が隠れていないかを確かめることをおすすめしています。
胸やけがある場合の検査
胸やけがある場合、胃や食道に疾患がある可能性が高いため、胃カメラ検査が有効です。胃カメラ検査では、食道・胃・十二指腸の粘膜をすみずみまで直接観察できますし、検査中に組織を採取して病理検査を行うことで、早期の微細ながんを含めた多くの疾患の確定診断につながります。また採取した組織を調べてピロリ菌感染の有無を確かめることも可能です。 当院では胃カメラ検査に苦手意識がある方でも楽に受けていただけるよう、鎮静剤を使った胃カメラ検査も行っています。検査は、内視鏡専門医が高度な内視鏡システムを使って精緻な検査を行っていますので、微細な病変の発見も可能です。
胃カメラ検査では、炎症の状態や範囲を正確に把握できますので、より適切な治療が可能になります。逆流性食道炎の場合、薬物療法で症状は緩和できますが、症状がおさまってからもしばらく治療を続けて食道粘膜の炎症をしっかり治すことが重要です。また、再発しやすいため、生活習慣の改善も不可欠です。当院では、患者様が無理なく続けられるよう、お話をじっくりうかがった上でアドバイスを行っていますので、ご相談ください。
繰り返す胸やけは早めに受診しましょう
慢性的に続く胸やけは、食道がんや胃がんの発症リスクにつながる可能性がある状態ですから、その段階で適切な治療を受けてリスクを低減させることが重要です。市販薬で解消できる場合も、炎症を繰り返すのはリスクになりますので、1度消化器内科を受診して状態を確認しておくようおすすめしています。